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中矢歯科医院 一日一話

歯科の再生医療分野で可能性を秘めたバイオハイブリッドインプラントとは

蒸し暑さは残っていますが、外に出たくないような暑さは和らぎ

幾分、過ごしやすい気候となってきましたね。

周囲の田んぼを見渡すと稲穂が綺麗に実っていて、収穫の時期を迎えております。

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昨日もテレビでips細胞(人工多能性幹細胞)でノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥教授の特集をしていましたが、

検査レベルで数値が改善されても患者の容態が改善されなければ意味がない。と信念をもって遺伝子、ゲノム解析に日々奮闘されていました。仕事は忍耐と挑戦であり、人生をかけて取り組むものであることを共感して見入っていました。

医科の分野ではすでに遺伝子治療が臨床応用されておりますが、歯科の分野ではこれからといったところであります。

再生医療は、どんどん研究が進められており、インプラント治療においても、

近い将来臨床応用できるものが出てきました。

「インプラントは骨と結合しています。青少年(18歳くらいまで)はインプラントをした部位の骨の成長が行われないためやってはいけないことになっています。そこで、今現在研究開発されているのが、バイオハイブリッドインプラントなるものです。
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自分の歯(天然歯)には歯根膜と呼ばれる感覚受容器が、歯の根っ子と骨との間に介在しています。
この歯根膜があるおかげで髪の毛一本でもかむと分かりますし、物の大きさや硬さが大体想像つくのです。
また物をかむときの力加減の調整をしています。我々は、よくこの歯根膜を座布団などの
クッションのように衝撃を和らげるものに例えて患者様に説明しています。もし歯に加わる衝撃を緩衝するものがなく歯の根っ子と骨が直接くっついていたら、歯は折れたりヒビが入って割れてしまうに違いありません。現在のインプラント(人工歯根)にはこの歯根膜がありません。骨と直接くっついているためであり、いくらでもかみこんでしまいます。
ただし、他に自分の歯(天然歯)が残っていればその歯の歯根膜で力加減の調整ができます。
バイオハイブリッドインプラントはインプラント(人工歯根)に歯根膜をつけたものを意味します。
歯根膜があれば上記のように髪の毛一本までわかるくらいの物の大きさや硬さが分かったり、物をかむときの力加減が分かったりします。もうこれは自分の歯(天然歯)と変わりませんね。
バイオハイブリッドインプラントが開発されると様々なメリットがあります。
今までインプラント治療がしたくてもできなかった成長期の青少年(18歳くらいまで)へのインプラント治療が可能となります。また、将来寝たきりになってしまってやむを得ずインプラントを撤去した方がいいと
なった場合に、天然歯と同じように比較的簡単にインプラントを除去することができるようになります。
再生医療で天然歯を一から再生となると、歯は前歯、臼歯、大臼歯と歯の形や大きさおよび役割が全く違いますので、まだまだ研究課題が山積みです。その点、バイオハイブリッドインプラントは歯根膜組織の再生だけですので、認可が下りて市場に出回るのは現実味があると思いました。
ただし、まだ研究の段階であります。
間葉系幹細胞から造られた歯胚から歯は発生します。
歯胚を何らかの形で造るか、自分の歯胚から抽出する必要があります。
ips細胞(人工多能性幹細胞)からできた歯胚(歯の発生段階)を移植するためには、免疫拒絶反応に対処する必要があります。
従って、自分の歯胚を使うのがいいのですが、親知らずだったとしても17歳前後くらいまでに何らかの形で抽出しないと、すでに歯ができてしまって歯胚を取り出すことができません。
歯の再植術でもドナーサイトの抜歯した歯に歯根膜はつかず、骨に歯根膜はくっついたまま天然歯から剥がれてしまうことが分かっていますので、すでに完成してしまった歯から歯根膜の組織をとるのは難しそうです。
自分の親知らずからの抽出方法がクリアできると商品化への道が開けそうです。
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バイオハイブリッドインプラントは近い将来、実現の可能性を秘めた現存のインプラント治療の進化系と考えられます。臨床化されれば、歯がない部位への最も適した治療方法の一つになることでしょう。
2017.09.12 Tuesday